2020年度入学となる奈良先端科学技術大学院大学の受験をし、入学したので、受験勉強や小論文で気を付けたことなどについてまとめようと思います。下記の文章を書いたのは大昔なので、時制がおかしい点が多いかもしれません。ご容赦ください。
本記事に欲しい情報がなかった場合、コメント等で言っていただければ記事にしようかと思います。
受験前のスペック
- 学科内では成績が良いほう
- プロジェクト活動に参加
→ 組込み系プログラミング教材作成
→ ロームとのプロダクト開発 - ロボット研究会等で活動
→ 製作や大会運営に関わる
→ 基板設計の技術 - 個人で画像処理を勉強
→ 画像処理エンジニア検定ベーシック、MLPの画像認識を流し読みした程度
卒業研究
卒業研究をする研究室配属がされる当初、NAISTの志望先研究室をすでに心に決めていたので、そこに直結する卒業研究をしようと考えていました。NAISTでは視線の誘導の研究を行うつもりだったので、卒業研究も視線関連に取り組みました。そこで、組込みシステム開発のデバッグにおける、視線と熟練度の関係について分析をしました。 この研究を直接、NAISTの小論文のテーマに繋げようと受験前は考えていましたが、結局、別の内容で小論文を執筆しました。
ちなみに自大の研究室選択の際には、以下の3点について注意しました。
受験仲間には、卒論でも好きな分野に取り組める研究室に入り、囲い込みやコアタイムに逢っている人がいたので、まだ研究室選択の余地がある人は参考にしてください。
志望理由
自分で考えたほうが面接でちゃんと喋れると思います。なのでちょっと曖昧に書きます。
NAISTを選んだ理由
→ 向上心や研究への熱が高い人が多い
→ 研究施設や資金の充実
→ 将来性のある研究ばかり
受験のための事前準備
研究室訪問
NAISTの研究室に訪問できる手段は、オープンキャンパスを除いても大量にあります。
例えば「いつでも見学会」という、事前に連絡していればいつでも研究室に見学し、研究紹介してもらえる制度があります。私の体感では、「いつでも見学会」は月2回ぐらいあるので、遠慮なく来てくださいね :)
研究室に長期で勉強させてもらえる「インターンシップ」という珍しい制度もあります。また、毎年2回ほど技術体験できる、2・3日程度の「スプリング/サマーセミナー」も開催されています。
その中でも私は下記のことをしました。
- 2018年,2019年の5月のオープンキャンパス
- サマーセミナー:光メディアインタフェース研究室
- スプリングセミナー:サイバネティクス・リアリティ工学研究室
- 3月あたりで、阪大・東工大・筑波大などの見学もしました
英語
英語が得意な人はの参考にはなりません。
2年生末に受験したTOEICで400点台を取る。NAISTを合格した先輩から、「TOEICは何度も受けていたら点数が上がる」と聞いていたので、10月辺りから5回程度受験しました。しかし、受験するだけでは点数が大幅に上がるわけもなく、毎回のテストのために1週間未満しか勉強をしていなかったので、成長は非常に遅かったです。おそらく、何度も受けなおしてとれる点数の上限は600点ぐらいだと思います。
英語の勉強方法は自分で考えたほうがいと思いますが、私は語彙力が非常に低かったので英単語長でもある「金/銀フレーズ」は他に比べて力を入れて勉強しました。
結果として480点 → 675点を取得し、これで願書を提出しました。この前年度のNAIST受験者平均点が670点だったので日本人だと普通に取れているほうだと思います。
<追記>
入学時にTOEIC IPを再度受けるのですが,2020年はコロナの影響で開催されませんでした.
NAISTではこの得点を基に,英語の授業選択の方法が変わります.今年はコロナの影響で試験は開催されず,事前提出した英語の得点を基に決められたのですが,650点が上級と一般の分け目になっていました.
この際,650点を超えていた場合,ものすごく簡単な授業を2つ受けるだけで済みます.
それに対し,超えていなかった場合,英語の文章を27万文字読む苦行があるようです.
650点を超えていなかった人はかなり大変そうなので,今のうちに頑張って点数を上げましょう.
数学
指定の教科書が2冊あり、購入したり図書館で借りたりして勉強しました。受験に失敗して受験料がかかるよりは圧倒的に安いので購入して良いと思います。私立の大学から国公立に入学できる場合も安いものでしょう。
線形代数
指定の教科書が図が多くわかりやすい様に見せかけて、翻訳がうまくないのか、もともと苦手だったからなのか、読むのに非常に時間がかかりました。内容をまとめたりもしましたが、読み返すこともなかったです。日本の教科書に比べて、指定の教科書の演習問題は理論の本質理解に向けられており、簡単には解けません。途中で面倒くさくて諦めた。
→ 受験2週間前にマセマの問題集に逃げて、2日くらいで1周解くことができたので、それっきりほとんど線形の勉強をしませんでした。解析学
指定の教科書をざっと読み、問題を解きました。補助問題(?)が結構難しかったので、その辺は適度に飛ばしつつ読み進めました。線形代数に比べて文章が読みやすかったので、割とスラスラ進められますが、やる気が出なかったので時間はかかっています。問題に関しては2、3周ほどしました。
小論文の執筆
事前調査が超重要です。小論文執筆の前に下記のことを行うべきでしょう。私の場合、志望の研究室で似た研究がなさそうだったので調べるのに苦労しました。
- 論文を読む(既存研究がないか、自分のに使えそうな技術はないか)
- どういったものに導入できそうか既存のサービスを探し、既存研究との差を考える
- VR関連の知識がなかったので本で勉強(「バーチャルリアリティ学」や「VRは脳をどう変えるか」など7冊程度)
小論文のテーマについて
私の研究室はかなり自由にテーマを決定できるので、決めるのが難しいかもしれません。基本的には関連研究を調査しまくって検討するのが正攻法だと思いますが、それでもアイデアが出ない場合は「アイデアのつくり方」という本に従って考えるのがいいと思います。
研究に限らず、日常的なアイデア出しに応用できる手法なのでオススメですよ!

- 作者:ジェームス W.ヤング
- 発売日: 1988/04/08
- メディア: 単行本
小論文執筆時の注意点
- 面接時に質問されて答えられるレベルで書く
- ダブルカラムが基本
- 図は各カラムの一番上か下にする
- 参考文献は当然入れる
所詮2枚の計画書では、すべてを説明し切ることは不可能です。また、どんな素晴らしい研究であっても問題点は必ず存在します。 ですので、自分がこの研究で重要だと思うことに自信を持ってまとめましょう。
おそらくほとんどの人が、卒業研究の文献調査も同時に行わなければならず、なかなか論文をまとめる時間がないと思います。その際には、「Margin Note3」というアプリを使用すると楽に整理できるでしょう。私も受験の頃にこのアプリを知っていたかった。
口頭試問の雰囲気
口頭試問と面接の部屋は別々です。数学の試問前に、10分ほど問題を見て解く時間が与えられます。その部屋も別室です(問題用紙と計算用紙、鉛筆が使える)。
以下、追憶...
数学
初日の午前最初の受験者だったので、ホワイトボードマーカのインクが2本連続でないというアクシデントに遭遇(ちゃんとしてよ。。。)。さらに、解こうとしていた問題の意味を捉え間違えていたので、とっさに問題を変えさせてもらいました(この時点で一気にテンパり始める。。。)。
線形独立なベクトルの最大個数を求める問題で、別室で解いた結果と口頭試問中の解答が異なっており、さらに焦りが募りました。見事にテンパっていたので、「さっきの部屋では解けたんですけれども。。。」と言って、解けたという前提で説明を進行しました。
一旦その問題を後回しにして、解析の問題を解き終えます。しかし「なんか忘れてない?」と言われ、積分定数を追加。
線形代数の問題に戻り、解きなおそうとしたところでタイムアップ。わあぉ。
ボロボロです。
口頭試問
気を取り直して表情を整え、面接に取り掛かりました(同大出身の別の人がいて、焦りを見せたくなかったので)。
はじめの研究計画(3分)の説明では、ほとんど詰まることなく話せましたが、終わってから「拍子抜けだねぇ」と言われました。私は研究計画の内容として、 研究内容の背景と既存研究との差について ばかり話したのですが、先生方はなぜその研究に興味を持ち、やろうと考えたのかという面にも興味を持たれていた模様です。
とりあえずプレゼンについてはそれ以外触れられず、研究内容について「こういうことで誤解はないですか?」という感じで研究内容の誤解を解くフェーズがありました。一部誤解があったので、そこで訂正させてもらう。
次に願書に書いてあった賞について、どういった内容なのか聞かれました。あと、成績に関しても。私の場合は、結構和やかな雰囲気でしたね。線形代数の成績が低い理由を突かれました。
次に、なぜNAISTを受験したのかと、なぜ東工大を受験するのかを聞かれました。東工大はプロジェクションマッピングについて扱っていて、単純に面白そう + 成績が良ければ筆記試験が免除になり、楽そうだから答えました。
変な空気になるので、普通に他大学を受ける情報は隠したほうがいい気がします。私は嘘をつけないので言いましたが。
その後、小論文に関して結構聞かれました。
- この研究のために今やっていることは?
→センサ関連の扱いと、UnityでVR開発する方法をWebで勉強しています - これをどのように定量的に測れるか
→本とかを見ていると、アンケートがよく使用されている
→ほんまにできると思う?
→いや、正直無理だと思います。
→他に考えられるのは?
→交通事故の例で、1ヶ月後の事故に関すr...(実際に、1か月後にアンケートを取り直して効果が継続していることを確認した研究があった)
→いや、不可能でしょw 生体情報とかは使えないかな?
→うーん、云々なので。。。適用できないと思います。(今思い返したら、教授からの助け舟だったなぁ)
→時間なので終了です
→はい、ありがとうございます! 失礼します。
終始、フランクな雰囲気で進行しました。人によってはあまり緊張せずに面接できるのではないでしょうか。
おわりに
本記事で、皆さんのNAIST受験のイメージが少しでも明瞭になれば幸いです。
ちゃんと準備したら合格できる大学院ですので、今のうちからぜひ頑張ってみてください。NAISTという研究をする上では最高な環境で、皆さんの望む研究ができることを願っています。
私が書いた小論文が欲しい人は、直接コンタクトを取ってもらえばお送りします。小論文の添削とかはしたくないなぁ。