机上の空論主義者

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全身麻酔をして奇形な親知らずを3本抜いてきました ~医療現場へのシステム導入の考察~

こんにちは。

7月半ばから4日間入院して、親知らずを抜歯してました!
ただ親知らずを抜いただけなら記事にする価値は無いですが、4日間入院していたので病院にシステム導入できそうな課題を見つけてきたので記事にしようと思います。


入院概要

親知らずの抜歯をするためだけに、4日間入院して全身麻酔の処置をしてもらいました。「親知らずの抜歯だけで入院したん?www」と周りの人からは言われますが、舌への刺激による嘔吐反射がすぐ出てしまうことや、歯が奇形であるために抜歯に時間がかかるため、かかりつけの歯医者に全身麻酔を勧められてそれに同意した感じです。まあ、歯医者が好きではない上に、正直大して苦労することなく終了するだろうと安易な思いでお願いした感じですけどね。


経過

親知らず抜歯のために、全身麻酔にしようか迷っている人向けに、一応施術内容について書いておこうと思います。

事前検査

全身麻酔をしても大丈夫な人間であるか、手術の2週間前に「血液検査」「尿検査」「心電図」「胸部レントゲン」の検査を行いました。その結果が問題なさそうであれば、入院当日の流れを説明されます。このときに、全身麻酔による危険性などが書かれた書類をもらえます。

入院1日目

朝10時から入院手続きをしました。その後は唾液によるPCR検査と、麻酔科の先生からの説明、歯医者さんと直前最終確認と歯のクリーニング、夜から絶食のをするだけでした。絶食は夜中12時からで、無果汁の高カロリーのジュースを朝9時までに飲み切るように言われました。

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無果汁のカロリー摂取用の飲み物を頂ける

入院2日目

12時半から施術が始まりました。多分3時間くらい麻酔で寝ていたのかな。点滴で麻酔を投薬されたのですが、針を刺されて30秒くらいは意識がありましたが、その後術後経過用のベッドに運ばれるまで?目が覚めませんでした。もちろん手術中の痛みは無しです。目が覚めたときは震えが止まらず、体感では10分くらいはめちゃくちゃ熱い電気毛布的なのに包まれていました。このときは何とか声が出せるような状態で、呂律は回らなかったです。

その後は病棟まで運ばれて、2時間安静にさせられました。2時間後に初めて水を与えられたものの、喉が痛すぎて水が飲めない状態でした... というのも、全身麻酔中は呼吸も止まってしまうため、鼻から管を通して人工呼吸器を通しているため、炎症を起こしてしまったためだと思います。夜中12時に、ついに耐え切れず痛み止めをもらい、その後なんとか水を飲めるようになった感じでした。
この日は38.5度の熱が続いていました。

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麻酔後2時間経過で、看護師さんに写真を撮ってもらった!

入院3日目

この日は、食事とトイレと体調管理されるとき以外は熱でしんどかったので眠っていました。抗生物質の点滴も定期的にしてもらっていたので、思うように動けず...

麻酔後初めての食事は3日目朝のおかゆ等だったのですが、口が開かないことや傷口に触れないように意識すれば以外に食べれました。まあ、毎食1時間ぐらいかけて食事する必要があったんですけれどね。

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最初からこの量は拷問級であった

入院4日目以降

朝10時に退院しました。まだ37度5分の熱があったのですが、病院に居ても寝ているだけだったので、延長することもなく電車で帰宅。帰る際は5回分の痛み止め + 胃薬をもらえました(1回分しか使ってないけど)。

入院中と変わらず、4日目と翌日は熱が下がらずにずっと眠っていました。退院後2日目の夜からようやく行動できるぐらいになりました。完治万歳!ミーティングの準備ができる........


感想

全身麻酔をちょっとなめていました。開始前の絶食をすることに始まり、麻酔直後の震え(人によっては吐き気)、のどの痛みから長期的な熱の発症があり、入院するには十分なイベントであることは間違いありません。正直、もっとケロッと目を覚ますかと...

入院中はある看護師さんによく見てもらっていたのですが、本当にやさしくてずいぶん心の支えになった記憶があります。麻酔が抜けて目が覚めてすぐに、ベットで寝ている姿を写真に撮ってもらったり、しょうもない冗談に付き合ってもらったり、こまめに様子を見てくれたり色々お世話になりました。それが仕事と言ってしまえば元も子もないですが、人の弱っているところをこれだけ救える看護師という仕事のすばらしさを認識した次第です。もう一度会って、しっかりお礼が言いたいものです。




システムの導入先

「入院しました。しんどかったです。」だけではただの日記になるので、技術ブログらしく「入院時に不便さを感じた問題点とシステムの導入可能性」について述べたいと思います。

1. 痛みの定量

痛みとは、基本的にはその人の主観的な評価であり、定量化することが容易ではありません。しかし、看護師さんから「痛みはどうですか」とよく聞かれたものの、「ここが痛いですが、耐えられないほどじゃないです」と私は答えていました。例えば麻酔後に喉が痛かったことについて、管を通したのは初体験であり、「このくらい痛いのは当然なのかなぁ」と思ってしまったためです。事実、風邪をひいたときに唾も飲めないような状態に近く、安静に水を飲まなければ問題なかったので、「痛い」と言うのは大げさにも思えました。水がほぼ飲めないほどの痛みが正常なはずが無いんですけれどね(笑)

ということで、腕時計型の計測デバイスで常に痛みを可視化できるようにすることに需要があるように思えます。"この治療の場合は、この程度の痛み未満が普通"というような感覚を看護師さんがつかむことが必要ですが、危険を瞬時に検知したり、問診の精度を上げることに繋げられる可能性があります。当然、この痛みの定量化については研究段階としてはよくあるものの、実用品としてはあまり無いようです。私の言う腕時計型で常時計測できる装置もあるようですが、まだ研究段階っぽいです。

xtech.nikkei.com


2. 運搬関連

入院中に困るのが、できる限り人手を借りずに自力でタスクをこなしたいという思いが湧いてしまうことです。正直、親知らずの抜歯というしょうもない理由で入院しているので、自分が健康体であると思いたく、看護師さんにはもっと重症な方を相手取って欲しいと考えていました。例えば、白湯が飲みたいときにその調達先が不明なときや、食事が遅くて配膳回収に間に合わないこと、水枕の交換をお願いすることくらいは自分で解決したかったタスクでした。また、私は困っていませんが、4人相部屋の病棟の場合、おじさんのイビキがやかましかったり、昼間でも眠ろうとするとまぶしいので、睡眠グッズが

このように単純な運搬・調達は、ロボットでも代替できる可能性があります。考慮すべきロボットは2種類で、巡回式の自動販売ロボットと、単にモノを特定の区間で運搬するロボットです。前者は飲料水や睡眠グッズ、テレビカード、タオルや靴下やティッシュなどを取り扱えるでしょう。後者は器具の回収や、特定の患者間とのモノのやり取り、ただの情報通知(「n時ごろに点滴です」的な)ことがタスクとして考えられます。
ただし、医療現場における自律制御であるため、人と絶対にぶつからない安全性と障害物対応、必ず適切な人にしかモノが渡らないようにしなければなりません。患者がどこに入院しているかというマップの更新作業も高速に手軽にできる必要がありそうです。

robotstart.info


3. ナースコールの優先度

これは痛みの定量化と似ていますが、重症患者さんのほうを優先して対応してほしいというだけです。麻酔が抜けてすぐはふらついて危険なので、夜中まではナースコールしてトイレまで付き添ってもらうように言われましたが、(いやいや... そんな大したこと無いことで呼んでもいいものなのか...)と遠慮して中々押す気になりませんでした。ナースコールは1種類しかボタンを備えていないため、ご入力した際もすぐに駆け付けてくれます。1度だけ誤入力してしまい、とても申し訳ない気持ちになりました...

そんな時に、「対応は手が空いた時でいいので、10分くらいで来てくれたら嬉しい」ボタンがあればいいなと思うのです。ただ、重症患者が誤入力しては大問題なので、ただ押すだけの単純な動きではなく、捻りやスライドを加えた動作で入力するのが良いかもしれません。


4. その他ちょろっと

  • マスク問題
    今のご時世、人の面前に出るときはマスクを装着すべきです。しかし、入院中にベッドにいる際はマスクを外しているため、ちょっとした離席時にマスクをつけ忘れてしまいます。改善策は思いつかん。

  • 室内に人が存在するか問題
    部屋から出ていいタイミングが微妙に掴めませんでした。「お昼ごろに見に来ます」と看護師さんに言われ、そろそろかなぁと待ち続けてトイレを我慢していたことがしばしばありました。ベッドの圧力分布とか人感センサとかでセンシングしてLEDで可視化してくれたらと思いますが、そうすると院内泥棒が横行しそうですね。

  • マップ
    病院が広いので、どこでどの検査が受けられるかをマップを見ていても迷ってしまいました。そんなに方向音痴なほうでは(昔は)無かったのですが... ということで、目的地に対応したQRコードを読み取ると、Waaaaay!というアプリのように検査場までの方向と建物の階層を示してくれるアプリがあればいいのになと思った次第です。




おわりに

「死ぬまでにやりたい100のこと」に入院することは入ってはいませんでしたが、人生でもなかなかできない貴重な体験ができて満足しています。ちゃんと保険適用内で安くで抜歯できたので、日本の医療システムの素晴らしさを感じましたし、看護師さんが優しすぎて感動もしました。

親知らずの抜歯を全身麻酔でする人は、私が行った大病院では週に1人くらいは普通に居そうだったので、嘔吐反射やらで悩んでいる人の選択肢としてはメジャーであるように思えます。この記事が、同じよな境遇の人に役立てば幸いです。

それでは。