机上の空論主義者

-♰- 有言不実行の自身をブログ名で戒めろ -♰-

画像ラボ1月号に記事が掲載されました!

あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします!

2021年1月の画像ラボに、卒論時の成果のが掲載されました。 雑誌に記事が載ることなんて滅多にないことなので、一応ご報告です。

画像ラボとは、日本工業出版(株)の出版されている雑誌の1つで、カメラ・レンズ技術であったり、画像処理や画像認識を用いた応用技術などを取り扱っているみたいです。大企業からの記事が半数、有名大学の教授レベル方々の記事が4割近くであるレベルの高そうな雑誌。。。
そのなかで私の記事が掲載されたことは、非常におめでたいことだと思っています。

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画像ラボ1月号に掲載されました!


内容は大したことがないのですが、私が卒論に取り掛かっていた際に既存研究が無さそうだったことを別のところで論文投稿にしたところ、それが画像ラボの方に目についてに記載させていただける流れになりました。私の記事は14ページからのやつです。



具体的な記事の内容としては、「装着型アイトラッカーを用いた視線情報の分析では、頭の角度が変化したり物の位置が変わったりするから、どの物体を見ているかが座標情報だけではわからない → じゃあYOLO v3を使った物体抽出で解決できるね!」ということです。いわゆる、注目物体の遷移を自動的に時系列データ化したことが主題になります。

内容がシンプルで満足がいかなかったため、実際に生成した時系列データを如何に分析できそうかも書きました。が、データサイエンスの専門家から見たら鼻で笑われそうな無いような気もします。。。

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こういうのが装着型アイトラッカーです。200万円くらいする。。。



そんなこんなで、初めて技術雑誌に載ったので興味のある方はぜひ読んでみてください!
(まあ、無料で転がってる別の論文を読んでくださったほうがコスパがいい気もしますが。)

ちなみに、19ページ左の下から5行目の「””」は校正時に修正箇所を強調したらそのまま残っちゃったという感じです。原稿を途中で修正しすぎたせいで編集の方にお手数をおかけしてしまいました。。。

MarginNoteの使い方をまとめてみた(2020年8月現在)

こんにちは。インターンシップが中止になり、ここ2か月が暇人になったume-boshiです。


某ウイルスの影響で研究室にあまり行けず、論文調査やら論文執筆ばかりをしている方は多いのでははないでしょうか。奈良先端大は何の影響もないですが、私の母校では大学院生以外が登校できない状態が続いていたようで、後輩たちは論文調査ばかりやらされてるんだろうなと憐れむ気持ちです。爆破予告も来てたしな。

研究のために、既存研究を調査することは重要ですが、論文を大量に読んでいると、どこに何が書いてあったのか忘れてしまいますよね。

読んで、まとめるのが面倒くさくて忘れてしまうのは、正直時間の無駄です。


私は昨年の1年間、ずっと時間を無駄にしてきたので、今年度からは「MarginNote」というpdf論文管理アプリを使用し始めました。

ume-boshi.hatenablog.jp

このアプリ、慣れると高機能なのですが、初めて使ったときにいまいち使い方がわからなかったので、私が現在知っている範囲でアプリの使用方法(iPad)を本記事で紹介したいと思います。

使用の流れ

概要

  1. どこかから論文を探してくる(←ここが未だに苦手)
  2. 論文をインポート
  3. 論文を読み、ハイライトやメモを残す
  4. ツリー形式でまとめる
    という順で説明していきます。


どこかから論文を探してくる

論文を読むには、論文を探してくる必要があります。私はこの段階がかなり苦手なのですが、一応1年以上やっているので、初学者向けに検索できるサイトを記しておきます。

日本語の論文を探している場合は、CiNiijstageあたりで検索して探すことが多いと思います。jstageの方は「査読付き」で絞り込めるので便利です。ただ、この2つで検索しても出てこない論文がいくらかあり、自分の所属する分野のDBで検索することも重要です。

例えば私だと(情報処理学会電子図書館)[]でも検索しています。↑の2つでは検索しても出ないけれど、こちらでは自研究に近いものが見つかることもあり、やるに越したことはないでしょう。


英語論文だと、ACM Digital Libraryか、Research GatearXivが有名でしょうか。英語論文に関しては、検索が苦手すぎるので何とも言えません。ACM Digital LibraryでAND検索する方法がわからず、目的の論文に達することができません。

あと、個人的にはあまり検索精度がいいと思えませんが、Google Scholarは忘れてはいけないサイトでしょう。もはや一番最初にここで検索するかなと。


このように検索してきた論文をアプリの方に取り込むのですが、保存先のおすすめとしてはGoogle Driveなどのクラウドです。論文を複数端末で共有する場合に、クラウドに保存することはもはや必須事項でしょう。
クラウドに保存していることで、論文の検索はPCで効率的に行ない、論文のまとめはiPadで効率的に行うという使い分けが容易になります。

Macを持っている人はそちらのソフトと連携することで、もっといい方法があるのかもしれません。


論文をインポート

頑張って集めた論文を読むために、アプリに論文を取り込んでいきます。

左側のDocumentを選択
→ ①左上にある「import」を選択
→ ②「Add Documents from Files」
→ 論文を保存しているCloudを選択
→ ③論文を選択
→ 複数の論文をimportする場合は右上の「選択」をタッチ
→ 論文が読み込める

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論文をインポートする

論文をフォルダごとにまとめる方法もあります。説明する気力がないので適当に質問してください。


論文を読み、ハイライトやメモを残す

それでは、取り込んだ論文を実際に読んでいく段階についてです。

まずは論文を開き、文章を読みます(当たり前)。
その際、気になった単語や意味が分からない単語は、①長押しし「Research」を選択することで、MarginNoteアプリ内で調べられます。

論文の中で気になった内容は、

  • Apple Pencilを使用すると手書きメモができ、
  • ③長押し+ドラッグで、文字をハイライトできます。
  • ④まとめたい画像などがあれば、短形領域指定も可能です。

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論文を読む

ハイライトは多くの色を使うと混乱するので、私は下記のように使い分けています。

  • 黄色:注目すべき主張や目的について
  • 緑色:一般知識、定義について
  • 紫色:気になる参考文献について


ツリー形式でまとめる

後は存分にまとめていくだけです。

一度論文を閉じ、①Studyを選択してから②新しいノートを作成し、③まとめたい論文を選択していきます。

するとハイライトした箇所が勝手にロードされるので、それをドラッグしていきマップを生成していきます。ここはグラフィカルで直感的な操作なので説明は不要でしょう。

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マインドマップを生成する

個人的な感想としては、1つのノートにまとめられそうな論文数は20個程度でしょうか。テーマごとにノートを分けると良いでしょう。


その他いい感じの機能

最近知ったのですが、Margin Noteにはプラグインを入れられます。そのためgoogle翻訳よりも翻訳精度が高いDeepLが使用できるプラグインがあり、それを入れる方法を下記に記します。

方法としては、 iPadから公式HPにアクセス
→ 「Advanced Scripting」
→ 「【MN Official Add-on】May 7th, Ver1.1.3:DeepL, a neural network translator with unprecedented quality」
→ 「Download」
→ ダウンロードしたファイルを開き、「MarginNote 3にコピー」
→ 入るはず

これにより、リーダーの右上の方にDeepLを起動するアイコンが出てきます。

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DeepLの起動手順について


最後に

MarginNoteはきれいにまとめられて、なおかつ検索機能も使用できるため、どの論文に何が書かれているかを思い出す手間もなくなってくるのではないかと予想しています。また、論文内でハイライトした数も見られるので、どの論文を既に読んでいて、どれだけ重要だったかを知れるよい機能も付いています。

ちなみに、海外では教科書などもpdfで配布されたりするようで、MarginNoteで教材を管理してくことがあるようです。教科書の内容が Ctrl + F できるようになったら便利ですよね。


本記事の机上の空論:MarginNoteを使っても、読んだ後にまとめない人が続出。

組込みシステム開発の視線分析に関して,人生初査読付き英語論文を書いて精神が死んだ件

こんばんは

授業,課題,論文執筆(2つ),新しい研究テーマ決め,就活といろいろ立て込みすぎているume-boshiです.しかも自主自粛しているので,引きこもりで鬱ら鬱らしている.M1-sindoi.

先月末に提出した査読付きの英語論文が,無事acceptedされてました.もう少しで夢のspringerに掲載です.すごいのかよくわからんけど.これまで査読付きの論文すら出したことがなかったので,今回はかなりしんどい思いをしました.

ということで,本記事では情報処理学会の論文と比べて英語論文の執筆で辛かったことを,つらつらと書いていこうと思います.辛いだけに.

研究テーマと提出先

私は卒論で,組込み系のデバッグ中の視線が,熟練度によってどのような特徴を持つのかについて取り扱いました.読者の皆様なら5分で解けるような,簡単なディジタル入出力のシステムにバグを埋め込んで,それを熟練者と初学者にデバッグをしてもらって,視線情報を取得した感じです.
そこで時系列データを解析するときに,ちょっと変わったマルコフモデルの値の取り方と,時系列データの分割について行っていました(どこまでオープンに書いていいのかわからん...).

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情報系では200万円もする機材を研究で使うのは珍しいのではないだろうか
その研究内容が数学モデル系の学会に出せるのではないかと,学部時代の指導教員に進めてもらい,執筆した次第です.結果的に,あまりマッチしていなかった感じはすごいしましたが.

去年の10月までの成果ですが,これの追加の進捗を発表. 組込みシステムの教材についてはやたら研究されてるけど,効率化の方面で分析するような研究はほぼ見ないですね.


執筆体制

私が1度,日本語で文字だけで5ページに執筆して,それを指導教員と指導院生と協力して英訳していく形で進めました.それを英訳と図の追加で,IEEEのone-columnのスタイルで10ページにするわけです. 複数人で編集するということで,人生初のオンラインtex環境であるOverleafを使用しました.

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オンラインtex環境

その後,別の教授方に添削してもらっていくようにしました. 提出前に英文校正に投げて,単語や文法を直してもらって提出しました.

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英文校正のエディテージさん(マジ感謝)


今までの論文執筆との違い

論文執筆といっても,卒論とか2ページの小論文とかを含めてですが,違いについて列挙していこうと思います.

  • 文字数というか,文字が占める領域が1.4倍くらいに増加(IEEEのスタイル,文字数多すぎて草).
  • 文法や単語について常に意識しながら文章を書かなければならない
  • 複数人の英訳では,表記ブレが大きすぎる
  • 関わる人が多く,さらに英語が下手くそすぎて理解に時間を取らせるので,心が穏やかじゃない
  • 生活リズムがおかしいので,手伝ってくださる方々との連絡にラグが
  • Grammaryとか,もはや無力
  • 今まで読んできた日本語の論文を引用しずらい.というかなくすべき(そのまま突き通したけど)
  • 論文を発表する最適な分野じゃなかったようで,研究の魅力とか難しさが伝わらない
  • 英文校正者の「clarifyしろ」が心に突き刺さる
  • 教授からの「英語は...かなり改善の余地がありますね...」という言葉の破壊力
  • とにかく精神崩壊がすごい

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普通の文章には適応できても,論文には効果がいまひとつなようだ


結局

日本語論文は,正直,2・3日でまともなものが書ける気がします.添削してもらって,その修正をするのも頑張れば1日で終えることができました.

しかし,英語となると,あらゆる段階で翻訳の作業が割り込んでくるため,英語慣れしていない私にとっては4倍くらい時間がかかるものでした.さらに,複数人での英訳だったため表記ブレだけじゃなく,遠隔でコミュニケーションも円滑にできなかったりと,直接コンタクトがとりにくい環境下の難しさを感じました. 色々と反省するところが多いですが,それだけ多くの経験ができた気もします.気だけ.


最後に

執筆を手伝っていただいた皆さん,どうもありがとうございます. 指導教員からのslackを無視している状況なので,本当はこんなブログを書いてる場合じゃないぞよ.条件付きみたいな感じなので,あと10日でいろいろ修正しないと......(´・ω・`)

ちょっと記事のまとめ方が雑なので,ちゃんと査読コメントを反映して提出してから,また査読コメントの辛さについて愚痴ろうと思います(その記事では論文執筆がどうしたらうまくできるか考えてまともに書きたい).


本記事の机上の空論:英文校正に出してりゃ,たいていの論文は条件付きで通してくれる.というかDeepLでええんちゃうか.

NAIST受験の入試合格後の動き(2019年度)

こんにちは.

今回は文字ばっかりの記事です.悪しからず.


今日はNAISTのバーチャルオープンキャンパスがありましたね.2か月くらいの準備期間で,素晴らしい見学システムを作成したNAISTの方々には脱帽します.先輩も頑張ってた...

今年からNAISTの学生をしておりますが,入学する5日前ぐらいまでちゃんと入学できるか不安な感情を抱いていました.
入試合格後の動きも不明瞭だったため,漠然とした不安を合格後にずっと感じていました.本記事はそういった人に向けて,少しでも先が見えるように,入試合格後の手続きなどを紹介したいと思います.



まあ,書類がどのタイミングで来るかという話ですね.

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Ag KuによるPixabayからの画像(こういう画像使ってみたかった)

合格直後

めちゃくちゃ安そうな用紙で,合格通知の書類が届きます.その中には,入学するかどうかの意思を問う書類と,入寮の希望調査,奨学金(JASSO)の希望調査の書類があったと思います.他は忘れたが,金を振り込んだりしたかもしれません.

入学希望の書類等を大学院に郵送することで,それ以降のフェーズに進めます.
※提出書類は必ずコピーを取っておきましょう!! ほとんどNAISTから郵便が来ないため,ちゃんと「入学したい」とチェックをしていたのか,不安で眠れない日々を過ごすことになりますよ...

入寮書類に関しては,成績が優秀な人は優先権があるらしく,抽選組とは違う書類が届くみたいです.この優先権がないと入寮することは困難なので,入試の成績は大事だったなと,入学してから思いましたね.ちなみに,私は入寮すらできませんでした.あと,協定校からの入学者も優先されるらしい.

奨学金に関しては,この時点で申し込みをしていなくても問題ありません.入学後に申請することができます.研究が忙しくて申請が厳しい人は,入学後にやってもいいでしょう.入金はすこし遅くなるそうですが.

入学の意思を提示した後

10月初旬に書類が来た覚えがあります.提出締め切りが10月末とか. 入寮や奨学金の希望によって,提出する書類が増えます.

学会とか,中間発表とか,研究室が忙しい時期でした.辛かったな.

奨学金を借りたい場合,現在所属している大学(私だと同志社)の研究室の教授に推薦書を書いてもらう必要があるため,早めの相談と行動が重要です.あと,バイトの収入の計算やら,志望理由や大学院で何がしたいかなど書く分量が多いため,かなり面倒くさいです.

その後,4か月ほど

「5年制のプログラムに申し込むか」と「来年度から英語で全部授業します」

という内容ぐらいしか,連絡がありませんでした.
せめて過去に郵送した書類が,正しく受付けられたという通知ぐらいは欲しかった...


メールで一方くれるだけでも大分安心感が違うんだけどな.

2月10日あたり

本格的な入学書類が届きます.提出締め切りが2月末. 卒論発表で忙しいでしょうが,提出忘れがないように気を付けましょう‼

入学の意思を再度聞かれます.また,入学費や保険の振り込みが必要です.その他,住所や経歴とか顔写真とか,個人情報を聞かれた気がします.コピーとってないから忘れた...
また,入寮や奨学金の候補生になれたかの結果がこの時点で届きます.

入寮できなかった人は,この時期から賃貸物件を探す必要があります.NAISTはUR賃貸と提携して?おり,2LDKの部屋を家賃4万円,2割引きとかで契約できます.しかし,4月からその物件に住みたい人は,書類が届いてから1週間以内に契約しNAISTに書類を提出しなければならないという鬼畜スケジュールが待っています.
私は入寮できなかったため,書類を受け取ってからすぐにUR賃貸にするか,普通にアパートを探すか検討しました.前者は車などがないと不便で,広すぎて高い + 飲み会の会場にされるなどの問題があり,後者(6畳の1K)にしました.

電車の乗換的に,生駒駅か菜畑駅周辺で探すのがいいかと思います.

3月初旬?

なんか書類が届きます.「入学おk」みたいなのと,新入生オリエンテーションや入学式,TOEIC IPの開催時期のお知らせがメインだったかと.

卒業証明書の提出を再度求められるため,準備しなければなりません.同志社は卒業式の日にしか受け取れなかったので,それまで提出を待ってもらいました.

おわりに

入試合格後の流れがなんとなく伝わったでしょうか?
この記事を4月初旬に下書きしたのですが,私自身も記憶があいまいですので,参考程度にしてください.

就職する人たちの状況を聞いていると,企業からの連絡や交流が非常に多いので,外部進学する人は寡黙なNAISTに不安感を覚えるでしょう.そんな人たちの助けに少しでもなればと思います.



ちなみに,入学後は嫌というほどメールが来るので,事務がダメということは全くないのでご安心を.

コメントで気軽に質問どうぞ.



本記事の机上の空論:大学院正門の前でラーメン屋と単身向けアパートの建設計画したら,クラウドファンディングだけで資金が賄える

NAISTの受験記(2020年度入学 情報系)

2020年度入学となる奈良先端科学技術大学院大学の受験をし、入学したので、受験勉強や小論文で気を付けたことなどについてまとめようと思います。下記の文章を書いたのは大昔なので、時制がおかしい点が多いかもしれません。ご容赦ください。
本記事に欲しい情報がなかった場合、コメント等で言っていただければ記事にしようかと思います。


受験前のスペック

  • 学科内では成績が良いほう
  • プロジェクト活動に参加
    → 組込み系プログラミング教材作成
    ロームとのプロダクト開発
  • ロボット研究会等で活動
    → 製作や大会運営に関わる
    → 基板設計の技術
  • 個人で画像処理を勉強
    → 画像処理エンジニア検定ベーシック、MLPの画像認識を流し読みした程度
  • 卒業研究は「組込みシステム開発デバッグにおける視線動作と熟練度の関係分析」(ソフト工学)


卒業研究

卒業研究をする研究室配属がされる当初、NAISTの志望先研究室をすでに心に決めていたので、そこに直結する卒業研究をしようと考えていました。NAISTでは視線の誘導の研究を行うつもりだったので、卒業研究も視線関連に取り組みました。そこで、組込みシステム開発デバッグにおける、視線と熟練度の関係について分析をしました。 この研究を直接、NAISTの小論文のテーマに繋げようと受験前は考えていましたが、結局、別の内容で小論文を執筆しました。

ちなみに自大の研究室選択の際には、以下の3点について注意しました。

  1. 受験勉強が終わるまで待って応援してくれる
  2. NAISTの研究に繋げられる
  3. 完全にやりたい研究ではないが興味はある研究を取り扱っている
  4. NAISTで身に着きづらそうな,発表の技術に長けている

受験仲間には、卒論でも好きな分野に取り組める研究室に入り、囲い込みやコアタイムに逢っている人がいたので、まだ研究室選択の余地がある人は参考にしてください。


志望理由

自分で考えたほうが面接でちゃんと喋れると思います。なのでちょっと曖昧に書きます。

NAISTを選んだ理由
 → 向上心や研究への熱が高い人が多い
 → 研究施設や資金の充実
 → 将来性のある研究ばかり


受験のための事前準備

研究室訪問

NAISTの研究室に訪問できる手段は、オープンキャンパスを除いても大量にあります。
例えば「いつでも見学会」という、事前に連絡していればいつでも研究室に見学し、研究紹介してもらえる制度があります。私の体感では、「いつでも見学会」は月2回ぐらいあるので、遠慮なく来てくださいね :)
研究室に長期で勉強させてもらえる「インターンシップ」という珍しい制度もあります。また、毎年2回ほど技術体験できる、2・3日程度の「スプリング/サマーセミナー」も開催されています。

その中でも私は下記のことをしました。

英語

英語が得意な人はの参考にはなりません。
2年生末に受験したTOEICで400点台を取る。NAISTを合格した先輩から、「TOEICは何度も受けていたら点数が上がる」と聞いていたので、10月辺りから5回程度受験しました。しかし、受験するだけでは点数が大幅に上がるわけもなく、毎回のテストのために1週間未満しか勉強をしていなかったので、成長は非常に遅かったです。おそらく、何度も受けなおしてとれる点数の上限は600点ぐらいだと思います。

英語の勉強方法は自分で考えたほうがいと思いますが、私は語彙力が非常に低かったので英単語長でもある「金/銀フレーズ」は他に比べて力を入れて勉強しました。

結果として480点 → 675点を取得し、これで願書を提出しました。この前年度のNAIST受験者平均点が670点だったので日本人だと普通に取れているほうだと思います。


<追記>
入学時にTOEIC IPを再度受けるのですが,2020年はコロナの影響で開催されませんでした.
NAISTではこの得点を基に,英語の授業選択の方法が変わります.今年はコロナの影響で試験は開催されず,事前提出した英語の得点を基に決められたのですが,650点が上級と一般の分け目になっていました.

この際,650点を超えていた場合,ものすごく簡単な授業を2つ受けるだけで済みます.
それに対し,超えていなかった場合,英語の文章を27万文字読む苦行があるようです.

650点を超えていなかった人はかなり大変そうなので,今のうちに頑張って点数を上げましょう.


数学

指定の教科書が2冊あり、購入したり図書館で借りたりして勉強しました。受験に失敗して受験料がかかるよりは圧倒的に安いので購入して良いと思います。私立の大学から国公立に入学できる場合も安いものでしょう。

  • 線形代数
    指定の教科書が図が多くわかりやすい様に見せかけて、翻訳がうまくないのか、もともと苦手だったからなのか、読むのに非常に時間がかかりました。内容をまとめたりもしましたが、読み返すこともなかったです。日本の教科書に比べて、指定の教科書の演習問題は理論の本質理解に向けられており、簡単には解けません。途中で面倒くさくて諦めた。
    → 受験2週間前にマセマの問題集に逃げて、2日くらいで1周解くことができたので、それっきりほとんど線形の勉強をしませんでした。

  • 解析学
    指定の教科書をざっと読み、問題を解きました。補助問題(?)が結構難しかったので、その辺は適度に飛ばしつつ読み進めました。線形代数に比べて文章が読みやすかったので、割とスラスラ進められますが、やる気が出なかったので時間はかかっています。問題に関しては2、3周ほどしました。

小論文の執筆

事前調査が超重要です。小論文執筆の前に下記のことを行うべきでしょう。私の場合、志望の研究室で似た研究がなさそうだったので調べるのに苦労しました。

  • 論文を読む(既存研究がないか、自分のに使えそうな技術はないか)
  • どういったものに導入できそうか既存のサービスを探し、既存研究との差を考える
  • VR関連の知識がなかったので本で勉強(「バーチャルリアリティ学」や「VRは脳をどう変えるか」など7冊程度)

小論文のテーマについて

私の研究室はかなり自由にテーマを決定できるので、決めるのが難しいかもしれません。基本的には関連研究を調査しまくって検討するのが正攻法だと思いますが、それでもアイデアが出ない場合は「アイデアのつくり方」という本に従って考えるのがいいと思います。
研究に限らず、日常的なアイデア出しに応用できる手法なのでオススメですよ!

アイデアのつくり方

アイデアのつくり方

小論文執筆時の注意点

  • 面接時に質問されて答えられるレベルで書く
  • ダブルカラムが基本
  • 図は各カラムの一番上か下にする
  • 参考文献は当然入れる

所詮2枚の計画書では、すべてを説明し切ることは不可能です。また、どんな素晴らしい研究であっても問題点は必ず存在します。 ですので、自分がこの研究で重要だと思うことに自信を持ってまとめましょう。

おそらくほとんどの人が、卒業研究の文献調査も同時に行わなければならず、なかなか論文をまとめる時間がないと思います。その際には、「Margin Note3」というアプリを使用すると楽に整理できるでしょう。私も受験の頃にこのアプリを知っていたかった。

ume-boshi.hatenablog.jp

口頭試問の雰囲気

口頭試問と面接の部屋は別々です。数学の試問前に、10分ほど問題を見て解く時間が与えられます。その部屋も別室です(問題用紙と計算用紙、鉛筆が使える)。

以下、追憶...


数学

初日の午前最初の受験者だったので、ホワイトボードマーカのインクが2本連続でないというアクシデントに遭遇(ちゃんとしてよ。。。)。さらに、解こうとしていた問題の意味を捉え間違えていたので、とっさに問題を変えさせてもらいました(この時点で一気にテンパり始める。。。)。
線形独立なベクトルの最大個数を求める問題で、別室で解いた結果と口頭試問中の解答が異なっており、さらに焦りが募りました。見事にテンパっていたので、「さっきの部屋では解けたんですけれども。。。」と言って、解けたという前提で説明を進行しました。
一旦その問題を後回しにして、解析の問題を解き終えます。しかし「なんか忘れてない?」と言われ、積分定数を追加。
線形代数の問題に戻り、解きなおそうとしたところでタイムアップ。わあぉ。

ボロボロです。

口頭試問

気を取り直して表情を整え、面接に取り掛かりました(同大出身の別の人がいて、焦りを見せたくなかったので)。
はじめの研究計画(3分)の説明では、ほとんど詰まることなく話せましたが、終わってから「拍子抜けだねぇ」と言われました。私は研究計画の内容として、 研究内容の背景と既存研究との差について ばかり話したのですが、先生方はなぜその研究に興味を持ち、やろうと考えたのかという面にも興味を持たれていた模様です。
とりあえずプレゼンについてはそれ以外触れられず、研究内容について「こういうことで誤解はないですか?」という感じで研究内容の誤解を解くフェーズがありました。一部誤解があったので、そこで訂正させてもらう。
次に願書に書いてあった賞について、どういった内容なのか聞かれました。あと、成績に関しても。私の場合は、結構和やかな雰囲気でしたね。線形代数の成績が低い理由を突かれました。 次に、なぜNAISTを受験したのかと、なぜ東工大を受験するのかを聞かれました。東工大プロジェクションマッピングについて扱っていて、単純に面白そう + 成績が良ければ筆記試験が免除になり、楽そうだから答えました。
変な空気になるので、普通に他大学を受ける情報は隠したほうがいい気がします。私は嘘をつけないので言いましたが。

その後、小論文に関して結構聞かれました。

  • この研究のために今やっていることは?
    →センサ関連の扱いと、UnityでVR開発する方法をWebで勉強しています
  • これをどのように定量的に測れるか
    →本とかを見ていると、アンケートがよく使用されている
    →ほんまにできると思う?
    →いや、正直無理だと思います。
    →他に考えられるのは?
    →交通事故の例で、1ヶ月後の事故に関すr...(実際に、1か月後にアンケートを取り直して効果が継続していることを確認した研究があった)
    →いや、不可能でしょw 生体情報とかは使えないかな?
    →うーん、云々なので。。。適用できないと思います。(今思い返したら、教授からの助け舟だったなぁ)

→時間なので終了です
→はい、ありがとうございます!  失礼します。

終始、フランクな雰囲気で進行しました。人によってはあまり緊張せずに面接できるのではないでしょうか。


おわりに

本記事で、皆さんのNAIST受験のイメージが少しでも明瞭になれば幸いです。 ちゃんと準備したら合格できる大学院ですので、今のうちからぜひ頑張ってみてください。NAISTという研究をする上では最高な環境で、皆さんの望む研究ができることを願っています。
私が書いた小論文が欲しい人は、直接コンタクトを取ってもらえばお送りします。小論文の添削とかはしたくないなぁ。

MarginNoteで論文管理を開始

はじめに

4回生になって研究を始めると、それまでの学生生活と比較して論文を読む機会が非常に増えます。特に、他大学に進学して研究が大幅に変わる人や、新規性の高い研究をするような人は論文を集めるだけでも時間がかかり、どの論文に何が書かれているかは、ほとんど覚えていられません(やばい)。そのため、大量の論文を爆速でまとめることができるツールが必要となります。
そのために有効な「MarginNote」というアプリを発見したので紹介します。


追記(2020年8月16日): MarginNoteの基本的な使用方法について、下記の記事にまとめてみました。

ume-boshi.hatenablog.jp


MarginNoteを選択した理由

Appleアンチだった私が、論文を読む目的でiPadを購入したのには下記の2つの理由があり、それについて少し説明をします。

  1. Apple Pencilが論文を読むスタイルに向いている
  2. WindowsAndroidには機能性に富んだ論文管理ソフトがない

1. Apple Pencil

論文を読むとき、常人であれば必ず眠くなってくるため、体を動かすことが重要です。また、文章が頭に入ってきやすいように、マーカーやメモをしながら読むことが多いです。そのため、tablet端末で最も精度よく、論文に記入できるApple pencilが有効です。
もちろん、Androidtabletと電子タッチペンを使って何とかならないかも試したのですが、タッチの精度とアプリが微妙なことが相まって、使用にするに耐えませんでした。

2. 論文管理ソフト

ググったら色々なソフトが見つかるかと思います。そのなかで最も使用感が良かったのはMendeleyであり、それを半年ほど使用していました。しかし、日本語論文のメタ情報を自動的に読み込むことができないことや、ハイライトの機能しかないなど、使っているうちにじわじわとストレスがたまるアプリでした。ただ、保存した論文を複数の端末間で連携できることは非常にいいですね。DropBoxで解決しますが。

MarginNote

特徴

爆速で論文をまとめられるMarginNoteというアプリの特徴を下記に述べます。

  • 最強:論文の内容をマインドマップ形式でまとめられる
  • 強み1:複数の論文を同時に開きながらまとめられる
  • 強み2:翻訳がすぐにできる
  • 強み3:Apple Pencilでメモやハイライトが可能
  • 強み4:PDFで文字として認識できなくても、OCR機能により文字として入力できる
  • 値段:1600円
  • アプリの学習コスト:高め

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論文への書き込みの例
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マインドマップの一例

使用後の感想

利点:知識を階層的にまとめられるので、欲しい情報を探すのが簡単になった
欠点1:一部、キーボードで文字を打つのがめんどい
→ 600円で手書きのキーボードアプリを購入し解決可能
欠点2:WidowsやAndroid端末とデータを同期できない
Macユーザなら同期可能
DropBoxなどのクラウドを用いて論文を共有することはできるが、iPadDropBoxにデータを保存するのは結構面倒 欠点3:各ノードの手書きメモのサイズが小さい

最後に

使い方が若干難しいので、今後使用方法についても共有できたらと思います(MarginNoteに関する日本語の記事が少ない)。 非常に良いアプリなのでぜひ使ってみてください。

本日の机上の空論:こういうUIでブックマークとかExplorerの整理が出来るサービスを開発すると、存在するブラウザの数だけ収益が得られる。